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体外受精児フォローアップ
わが国の出生の90人に1人を占めるようになった体外受精児の出生と発育の調査は、
体外受精の安全性の確認のために非常に重要な課題となっています。

通常の体外受精(IVF)による出生児の予後

IVFによる妊娠の最大の問題点は、多胎妊娠による早産・低出生体重児の増加と単胎妊娠での早産率、低出生体重児率の高さです。IVFによる妊娠では23-34%の多胎率が報告され、IVF後の多胎妊娠の早産率は、世界的に約50%であり、低出生体重児(2500g未満)の比率は60〜90%です。単胎妊娠での早産率は12-19%、低出生体重児率13.8%と報告されています。虹クリニックで施行した体外受精により2009年2月から2013年12月までの多胎率は0.4%であり、早産率は2013年1年間の出産では、13.8%でした。

身体発育・精神運動発達

体重・身長・精神運動発達などの身体発育については、IVF児には特別の所見は報告されていません。
荻窪病院における体外受精児の追跡調査の結果では、身体発育において、単胎・正期産児は日本人標準曲線に一致した発育を示し、早産・多胎児も子宮内胎児発育不全を伴った一部の児を除いて12ヶ月頃までに概ねcatch upして心配の要らない発育をしめしました。
精神運動発達において、生活習慣の自立に一過性の遅れが観察される以外に特に遅れは認められずに、発達指数の測定値も問題ありませんでした。

先天異常

現在までIVF児およびヒト凍結胚による出生児における先天異常の発生率の上昇は認められないという報告が大勢を占めています。

ICSIにより出生した児の予後

現在までの多くの報告ではICSIによる児の発育異常・先天奇形の増加、発達遅延は認められないとされていますが、ICSIにより先天奇形が増加すると指摘した論文や精神発達の軽度の遅れを指摘した報告もあり、今後もさらに調査が必要と考えられます。

胚盤胞移植により出生した児の予後

胚盤胞移植を含む生殖医療を受けた出生児では1卵性双胎の確率が増加することが分かっており、2卵性双胎児における血液キメラの発生率が増加するとの報告もあります。胚盤胞移植による出生児についての調査は今後積み重ねていく必要があります。

2012年の当院での調査では、胚盤胞移植で妊娠された方の出生児の5年間の発達は、問題なかったことが示されました。体外受精のいずれの方法でも出生児に対するリスクが増加する可能性は、否定できないのが実情です。
大事なことは、治療のリスクと必要性を十分に考慮して方針決定することではないでしょうか。
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